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武田 全康
波紋, 14(1), p.48 - 49, 2004/02
中性子は双極子相互作用を通じて物質内部の磁気構造を直接的に調べることができるため、磁性研究にいまや必要不可欠なツールである。そのため、われわれの日常生活に深く浸透している磁性材料や磁気デバイスの開発研究にも大きな貢献を果たす能力を潜在的にもっている。しかし、これまで実用化された磁性材料や磁気デバイスの開発に中性子が直接的に関与した例はほとんどない。その原因としてさまざまな要因が考えられるが、大きなものとして、中性子のビームタイムが潤沢ではなかったため、どうしても自然科学の探究に偏ってしまい、ビームタイムを産業利用のために実質的に割けなかったことがある。J-PARCでは、現存の中性子源に比較して格段に大強度の中性子を利用することができる。さらに、利用体制の中に最初から産業利用が組み込まれているため、磁気材料や磁気デバイスの開発にも大きな威力を発揮するはずである。そのためには施設側産業界の双方で今から準備を始める必要がある。
技術協力課*
JNC TN1400 2000-006, 68 Pages, 2000/07
機構は、博士の学位をもった若手研究者の人材育成を図るため、平成9年度から博士研究員制度を導入した。同制度は、機構の先導的、基礎・基盤的な研究業務に関連して、独創性に富んだ若手研究者から研究テーマを公募する。若手研究者には、13年間の期間に機構の承認した自らの研究テーマを自主的に遂行し、研究者としての業績を得させるとともに、機構の研究業務を効率的に推進することを目的としている。本報告書は、平成9年度及び平成10年度に実施した博士研究員による研究テーマの実施結果についてその概要をまとめたものである。
技術協力課*
JNC TN1400 2000-004, 93 Pages, 2000/07
機構は、博士の学位をもった若手研究者の人材育成を図るため、平成9年度から博士研究員制度を導入した。同制度は、平成11年度で3年目を迎え、当初の目的を達成し、研究を終了した博士研究員も出始めている。同制度は、機構の先導的、基礎・基盤的な研究業務に関連して、独創性に富んだ若手研究者が13年間の期間に機構の承認した自らの研究テーマを自主的に遂行し、研究者としての業績を得るとともに、機構の研究業務を効率的に推進することを自的としている。本報告書は、平成11年度に実施した博士研究員による研究テーマの実施結果についてその概要をまとめたものである。なお、17件の研究テーマのうち、5件の研究テーマが平成11年度で終了した。
梶谷 剛*; 森井 幸生; 舩橋 達; 入山 恭彦*; 小林 久理真*; 加藤 宏朗*; 中川 康昭*; 平賀 賢二*
Journal of Applied Physics, 73(10), p.6032 - 6034, 1993/05
被引用回数:26 パーセンタイル:77.24(Physics, Applied)NdFeN(x=0,3.0,3.2)について室温での高分解能粉末中性子回折実験を行った。波長1.8232、ユリメーション6-20-6。リートベルト解析による構造パラメータの決定の結果、窒素の添加によって格子定数が大きく変化すること、一方6Cサイトの2ヶのFe(1)と18fサイトの6ヶのFe(3)でつくるグループの構造はほとんど変化しないことが判明した。また鉄原子の磁気能率の解析から6c,9d,18f,18hサイトにある鉄原子は無窒化物では0.7であるのにx=3.2では2.1まで増加することが判明した。
荒 克之
MAG-82-165, p.83 - 92, 1982/00
原子炉計測のうち、原子炉内の計測では耐環境性のあるセンサが必要とされる。磁気応用センサは耐環境性に優れ、出力レベルも大きいので、原子炉内の各種の計測に利用されている。原子炉内用磁気応用センサに使われている磁性材料に強磁性を示すステンレス鋼がある。この材料は本来構造材料として開発されたものが、その磁気特性は調べられていない。そのため、SUS403およびSUS405の磁気特性を調べた。これらの材料は、一般の反硬質磁性材料に比べて、いくぶん磁気的に軟かい特性を示す。実際の磁気応用センサとして、燃料伸び測定用差動変圧器、燃料ピン内圧測定のためのベローズ/差動変圧器式圧力センサ、フロート/リニアトランス式水位系を開発した。これらのセンサでは耐熱コイルの作成、ケーブル引出部のシール溶接などが重要な点で、工夫を必要とする。
高梨 弘毅
no journal, ,
磁気を帯びた物質から作られる磁性材料は、発電機、モーター、変圧器、ハードディスクなど、さまざまな用途に使われ、私たちの生活に不可欠の存在になっている。本講演では、磁性材料がどういうものかという基本からスタートし、磁性材料がどのように私たちの生活に役に立っているのかを、一般市民向けにわかりやすく解説する。
高梨 弘毅
no journal, ,
最近10年くらいの傾向を見ると、スピントロニクスは新たな展開期を迎えている。スピン軌道相互作用を活用するスピンオービトロニクス、反強磁性体のメリットを生かす反強磁性スピントロニクス、熱との相関に着目するスピンカロリトロニクスなど、さまざまな分野がスピントロニクスから派生している。この流れの中で、金属人工格子という材料はあらためて注目される。界面の集合体である金属人工格子は、スピン軌道相互作用が人工的に増強された系と考えることができる。層間交換相互作用を利用すれば、変調周期や結合強度を人工的に制御した反強磁性体を作製できる。また、金属人工格子の構造的な異方性に着目すれば、電気伝導と熱伝導を独立に制御することができ、熱電変換の無次元性能指数ZTの向上も期待できる。以上のような観点から、われわれは金属人工格子の研究に取り組んでおり、実際にPd/Co/Pt構造における垂直磁気異方性とスピン軌道トルクとの相関性の観測、Co/Cu-Ir/Co構造における反強磁性交換結合とスピン軌道トルクの観測、Co/Ir/Co構造における巨大な反対称交換結合の発見と磁化スイッチングへの応用、Ni/Pt人工格子における異常ネルンスト効果の増大の観測などの成果を得ている。